2017年9月4日月曜日
東京上空に「オーロラ」と「流星雨」が出現する日
東アジアの初秋の空。遠くインド洋のモンスーンがヒマラヤの峰々で巻き上げられ、
今年も大量の雨と雲が、西から東アジアに運ばれてきている。
日本のみならず、中国南部でも激甚災害が発生しているが、
幾千万年来、大地と自然を育んできた雨でもある。
北朝鮮では今年もコメの不作により、次の冬も多くの餓死者が出ると言われている。
日本海で違法操業したイカは、北朝鮮の人々の胃袋を満たすわけではない。
一部の特権階級と、中国・ロシアに輸出(というより物々交換)されてしまう。
彼らは、
大気が極めて希薄な熱圏(高度80km以上)の高度100数十km〜400kmで水素爆弾(熱核兵器)を炸裂させ
半径数百キロ〜1000キロの広範囲の地表に強力な「電磁パルス」(EMP)で攻撃すると日本を脅してきた。
政府は、これに対し、通常の核実験、ミサイル発射と異なる反応は何もしていない。
彼らにとって、これは合理的で効果的な方法だった、ということにもっと注目すべきである。
というのも、地上まで着弾させると、もちろん着弾した場所には甚大な被害を与えられるが
命中精度、物量を求められるのに対し、熱圏での熱核爆発は、一発で広範囲に打撃を与えることができるからだ。
1発で半径数百kmの広い地域に影響を与えられる電磁パルス攻撃は、
現在の北朝鮮にとって、唯一採りうる、実現可能性と実効性が高い手段と考えられる。
だが、「電磁パルス攻撃」は今ひとつ一般の認知/認識が希薄だ。
実際、報道当初の数日間、ニュースの見出しを騒がせただけのことだった。
多くの人は「なにそれ?」って、筋肉ベルトのEMSくらいのパルスを想像しているのではあるまいか。
この呑気な反応があるからこそ、攻撃の威力を見せつけるために
彼らが実際に太平洋上空で水爆実験を行う可能性もあり、リスクを高めている可能性がある。
また、熱圏での核実験なら「人体に影響はない」などの表面的な報道が多いため
「大したことではない」と考えている人が多いとも考えられる。
たとえば東京の上空、300kmで熱核兵器(いわゆる水素爆弾)が炸裂した場合、
1発で関東全域はもちろん、東海地域、中部地域、東北地方の一部の
電力水道ガスや情報通信などの社会インフラ、交通機関、道路交通網および自動車、
会社や各家庭にある電気製品など電気配線と電気回路のあるあらゆる機器を破壊される、と考えられている。
水素爆弾の炸裂で大量に発生したガンマ線(X線)が成層圏上部の空気の分子を照射すると
「コンプトン効果」によって大量の電子がはじき出され、この大量の電子は地球地場の磁力線に沿って
螺旋状に飛び、地上はさしずめ、巨大な電子レンジの中のようになる。
陶器のカップに金粉などがあると火花が散るが、
地上の導電体(鉄や同などの電気を通す金属)で同じ現象が発生するというわけだ。
むろん、地上の被害も大きいわけだが、それより現代の我々が注目しなければならないのは
水爆が炸裂した「熱圏」より上空の宇宙空間である。
地上から400km程度の超低軌道(国際宇宙ステーションは高度約400km)で水素爆弾(熱核兵器)が爆発した場合、
どんなことが起こるのか? 過去に大いに参考になる事件が発生している。
1962年、ソ連の核実験禁止条約破棄への対抗措置として米国が行った一連の核実験「ドミニク作戦」のうち
ミッドウェー島から南に1000km、ハワイからは1400km離れたジョンストン島で実施された
フィッシュボール作戦「スターフィッシュ・プライム実験」では、各出力1.4Mトンの巨大水爆を高度400kmで炸裂した。
この核実験では、米国の同盟国イギリス初の人工衛星「アリエル1号」のほか、自国の通信衛星、NASA「トランシット4A」などを含む、1962年当時に低軌道を周回していた人工衛星のなんと「1/3」が破壊されてしまった。
2017/09/03の核実験で観測された爆弾の各出力は、実験後2週間で当初の70Kt(キロトン)という推定値が200Ktに引き上げられたものの、それでも「スターフィッシュ・プライム」の「1.4Mt(メガトン)」の1/10程度。
仮に北朝鮮が熱圏での核爆発を考えるなら、「スターフィッシュ・プライム」の400kmよりも低い熱圏(80km~)の最下層である100km以下の高度で炸裂させることを狙う可能性もある。しかし、本当のところ、北朝鮮の狙いは、地上よりも宇宙空間なのではないかと思える。なぜなら、北朝鮮にとって、地上で破壊したい設備の優先順位が高い米軍中枢の電気系統の多くは、EMP対策がすでに施され、むしろ、北朝鮮のインフラや、ミサイル誘導装置のほうが脆弱性が高い可能性があるからだ(小規模なものであれば、鉛の板などを被せてEMPから防護することは可能)。
この時、ジョンストン島付近ではオーロラが観測され、写真も残っています:Wikipedia より
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/54/Dominic_Starfish-Prime_nuke.jpg
Wikipedia|「ドミニク作戦」より引用:
"フィッシュボール作戦での実験。高度400kmの外気圏で実施され、通信衛星テルスターやNASAの人工衛星トランシット4A、イギリス初の人工衛星アリエル1号など、当時低軌道を飛んでいた人工衛星の3分の1が破壊された。 また、核爆発によって発生した電磁パルスの影響は予想外の広範囲に及び、人工のオーロラを発生させると共に、爆発した上空から約1,400km離れたハワイでも数百の街灯故障を引き起こしたほか、ハワイの電話システムをダウンさせた。"
1960年代と現在とでは、低軌道を周回する人工衛星の数は比べ物にならない。
現在低軌道を周回する人工衛星の一部が制御不能になったり、物理的に破壊された場合、
大量発生したスペースデブリが、さらに新たなデブリを発生する連鎖反応を起こす可能性が極めて高い。
スペースデブリは、小さなものでは数ミリ、10cm以上のものでも2017年現在で3万個近くが確認され
時速2万8000km、秒速で6〜8kmの高速で軌道上を飛んでいる。
ライフル銃などの初速はせいぜい数百m。対戦車ライフルの数倍の威力があり、わずか数ミリのスペースデブリでも衛星の外壁を破壊し、10cm大のものになると、戦艦大和の主砲(徹甲弾)よりも威力がある。
一度こうした事態が発生すると、数十年に渡り、低軌道がスペースデブリで埋め尽くされてしまう可能性もある。
当然のことながら、低軌道内に位置する国際宇宙ステーションなども何ら有効な手を打つこともできない内に、完全に破壊され、その様子は地上からも観測できるはずだ。
GPS衛星や日本の「みちびき」は周回軌道の高度が20,000km以上あるため、
直接的な物理的損傷はないかもしれませんが、北朝鮮の意図から考えれば、中軌道や静止衛星の高軌道にも悪影響を与える方法を検討している可能性を考えておく必要はあるだろう。
破壊された数百の人工衛星が、数千億個~数兆のデブリとなり、地球周回軌道を数十年かけて周り続け、夜空が今とはまったく異なる様相を呈する可能性がある。
これを解消するには、現在、誰も想像し得ないブレークスルーが必要と言わざるを得ない。
スペースデブリは、1960年代以降の人類の宇宙進出で積み残した負の遺産だが、
北朝鮮は、この脆弱性につけ込み、人質にしようとしている可能性がある。
いや、
ひょっとするとそうした認識もなく、ただ盲目的に、
目的と化した手段の実現に突き進んでいるだけかもしれない。
「単なる実験」という軽々しい認識で、明日の朝、大それた危険を冒す可能性さえあるのが現状なのだ。
この狂気の集団が誕生する経緯に日本人は関与している。
全体主義や思想統制、報道と言論の抑圧、なりふり構わぬ兵器開発...
多くの事柄が、戦前の日本の軍国主義と重なっており、
日本人は戦争を始めることを止められなかった上に、戦況が絶望的であることが判ってからも、指導部は受け入れず、国土と国民が徹底的に打ちのめされるまで、止めなかった。
それはドイツも同じ。なぜ、そんな不思議なことが起こるのか?
いったいどんなチカラがあれば、
その盲目的で破滅的な彼らを踏みとどまらせることができるのか?
日本の戦後教育に、その答えは無いように思う。
時代が進み、便利なミサイルやドローンが出来ても、結局のところ
能力ある/または駆り立てられた者たちが、彼らの中枢に肉薄し、
自らの肉体や生命の危険と引き換えに、その危険の根源を取り除くまで続く。
それが今、我々が住む世界の現実。例外などない。
IS掃討作戦もそうであるように、巡航ミサイルは古代の戦争で言えば「のろし」や「太鼓」などの奇襲効果しかない。
金正恩が、巡航ミサイルで最初に殺害された「ならず者」になる可能性が、ないわけではないが、高くはない。
なぜなら、巡航ミサイルで彼を攻撃するには、彼の権力中枢に肉薄した情報が必要になるが、米韓がそうした情報を持ち合わせていないからだ。
何もしなければ、彼らは巻き添えの隣人を日に日に増やしつつ
その先が「破滅」への道と解ってからも、それでも一歩また一歩と、進むはずだ。
かつて、日本やドイツが辿ったのと同じ道を。
この危機について、日本ももちろん真剣に向き合う必要がある。
打開の鍵を握っているのは、朝鮮戦争勃発当時から常に中国共産党である。
韓国は望まないだろうが、北朝鮮の地域は中国、とりわけ人民解放軍の瀋陽軍区に管轄させるしかない。
米軍は、巡航ミサイルや特殊部隊は送り込み、ロシア国境でロシア軍の動きを監視する必要があるが、地上軍は人民解放軍に任せるしかない。
米国や日本が、北朝鮮領域の中国直接統治を認めれば良いだけだ。
中国は、北朝鮮のキム王朝の崩壊を望まないのがこれまでの姿勢だが、この領域に米軍や韓国の地上部隊が進駐するくらいなら、直接統治に動く可能性はある。
ポイントは、ロシアの介入を防ぐことであり、これは中国も、満州(中国東北部)の混乱を助長し、領土拡大を狙うロシアの意図に対抗するため、日米間同盟に協力する可能性がある。
現時点で未来を指し示す大方針として、
当事者が受け入れ可能な可能性があるのは、これくらいのシナリオしかないだろう。
「東アジアの空」だけの問題ではない。
東京の夜空にオーロラを出現させたり、
消えない流星雨が降るような地球にしないために
日本が行動を起こす必要がるのは、上記のように中国を説得することだ。
さもなくば、泥沼の戦闘に日本も巻き込まれて甚大な被害を被るか
東アジアの秩序の主導権を、北朝鮮をダシにした中ロに奪われてしまうだろう。
EOF
Tokyo, Japan
日本、〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目 東京都庁
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